千葉県南房総館山市にある曹洞宗のお寺です。水子供養・永代供養・ご祈祷などのお申し込みは当山まで。坐禅体験もあり。

曹洞宗 正木山西光寺

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法話

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四諦--苦諦その4 病苦その2 病気にならない生き方 その15
―平和ボケ症-その6 坊さんこそ平和ボケ― 平成26年10月

もう、そろそろこのテーマもいい加減にしたいところですが、今の日本の仏教界の現状を鑑みますと、多くの僧侶自身が平和ボケ症に陥っているのではないかという疑念に駈られます。
で、今回この点を考えてみました。

前回、真の正義とは仏教の四諦八正道に則ったものでなければならないと申しましたが、残念ながら今の日本の仏教界にはその確信が持てません。
とりわけ仏教の僧侶たる者、その務めは何よりも人々を正義へ誘う導師でなければなりません。

いうまでもなく「導師」とはなにも葬儀など法要・儀式上だけのものではありません。
大恩教主釈迦牟尼世尊の名代として、人々の幸福と社会の安寧を希求する正義の旗頭としての「三界の大導師」でなければなりません。
僧侶にはそんな現世に生きる仏陀の名代としての責務があるのです。

しかし今の日本が直面している様々な危機に対して日本の仏教界は極めて消極的です。
集団的自衛権の問題にしても、キリスト教の団体は一斉に抗議や反対の声を上げたのに対し、仏教界からは殆どアクションがありません。

伝統仏教59宗派などが加わる全日本仏教会は理事長談話として「深い憂慮と危惧の念」を表明しました。
しかし、それは"談話"である以上、個人的見解であって謂わば世間話し程度という意味にすぎないのです。
日本の平和と安全に関する重大な問題に対して、これが今の日本仏教界の現実だとしたら実に情けないことです。

集団的自衛権にハッキリ反対を明らかにした宗派は、真宗大谷派、日蓮宗、臨済宗妙心寺派などくらいなものです。
宗派の多くは中枢にいる人物が極めて保守的だったり、個人の歴史観やイデオロギーに直結する問題だとして、多様な意見を取り纏めることが難しく、それが足並みの揃わない原因だといわれます。

そこで拙僧は言いたい。
僧侶たる者、仏教の絶対真理である般若の智慧こそ主観であるべきです。
般若の智慧に「個人の歴史観やイデオロギー」などの余地はありません。
僧侶にとっての"イデオロギー"が有るとすれば、それは般若の智慧に則ったもの以外にはないのです。
それがまさに「三界の大導師」たる条件です。

何度も言うように、真の正義とは般若の智慧・四諦八正道に則ったものでなければなりません。
その原理的・教義的観点から論ずるまでもなく、明らかに戦争は人権を否定した殺戮行為であり、絶対に避けなければなりません。
その旗頭こそ「三界の大導師」なのです。

 

しかし、近代日本の歴史を振り返ってみるとき、戊辰戦争から太平洋戦争まで、仏教勢力のほとんどは戦争に協力してきたという歴史的事実が存在します。
戦争を行う国家に対し資金や人材、物資を提供し、従軍僧を派遣して布教や慰問に努め、戦争の正当性を僧侶が説いて回ったのです。

ほとんどの宗教団体は戦前・戦中に、国家神道にからめとられました。
本願寺派では、親鸞聖人の聖典の一部を削除したほか、阿弥陀仏と天皇を重ね合わせたような戦時教学まで現れたとか。
まさに外道、非道の為せる業です。

日本の宗教団体の大半が戦争に協力した経過を持ち、いずれもが戦後この過ちを深く反省しました。
1962年、日本宗教者平和協議会が発足し、全国的な平和運動が発展し、キリスト教、仏教、新興宗教などの教団は平和の表明を次々と発し、80年代以降は宗教教団の戦争協力への反省が大きな流れになりました。

87年、真宗大谷派(東本願寺)は、全戦没者追弔法会を行い、宗務総長が「私たちは単に、『過ち』といって通り過ぎるにはあまりにも大きな罪を犯してしまいました」と、伝統仏教教団としてはじめて懺悔を発表しました。

続いて浄土真宗本願寺派、曹洞宗、臨済宗妙心寺派などの各宗教教団も戦争責任懺悔と平和声明を発表しています。
それが後に憲法改正反対運動へと発展していきました。

とくに、2001年9月の同時多発テロとイラク戦争以後、日本宗教連盟、日本キリスト教協議会、全日本仏教会、新日本宗教団体連合会などの平和声明が相次ぎ、今日の宗教界での憲法9条擁護の声となって広がったのです。

そのように、過去の戦争の反省と平和憲法の尊さを自覚した日本仏教界だった筈ですが、戦後70年、世代交代や世論の"風化"によって再び「個人の歴史観やイデオロギー」が先行し、仏教界は再び戦争を黙認しかねない風潮に晒されているのです。

戦争になるとき、まず秘密とウソが先行します。
知る権利と自由が奪われ、国民はやがて目も耳も口も封じられるのです。
情報操作や報道規制から"先軍政治"が始まります。
その準備としての「特定秘密保護法」が昨年12月強行可決されました。

  

そんななか、日本仏教界から唯一、真宗大谷派だけが気骨を示しています。
昨年11月27日真宗大谷派は宗務総長名で安倍総理に対して要望書を送っています。
模範として、また平和ボケ仏教界への喝の意味を込め、以下その全文をご紹介します。

私たち真宗大谷派は、かつて戦争に協力した罪責を深く懺悔するとともに、仏教の教えに立ち、戦争を許さない、豊で平和な国際社会の建設に向けて歩むことを誓いとしております。
その教団を代表するものとして、「特定秘密保護法案」に対して深い懸念を表明いたします。

本法案は、すでに各方面より指摘されているように、防衛・外交等に関する事柄についての国民の知る権利を著しく制限するものであるだけでなく、情報を得ようとした者の処罰まで規定されており、国民が知ろうとすることも制限するものとなっています。
したがって、該当する事柄について、政府・行政が現在何を行っているのかを知ることができないばかりか、速やかな事後の検証も困難となってしまうことが予想されます。

先の大戦において多くの情報が国民に秘匿された歴史、また今回の東京電力福島第一原子力発電所の事故において多くの情報が公開されなかったことに鑑みると、政府・行政の動きに関する重要な情報が秘匿されることをできる限り制限し、国民の知る権利を守ることが重要でありましょう。
したがって、本法案は国及び国民の安全の確保を目的とするとされていますが、それと引き換えに、私たち国民が不信と不安の中に暮らさねばならない状況を生み出すものと考えます。
それが真に豊かで平和な社会であるとは思われません。

私たち浄土真宗の門徒が願う阿弥陀仏の国土は、あらゆる存在をひとしくおさめとり、安らぎを与え、養う世界であると考えられています。
その願いに背いて戦争に協力した教団の歴史への反省に立つとき、この法案が、現在そして未来にわたって、人々の安らぎを奪うに違いないことを深く憂慮せざるをえません。

現在、震災及び原発の問題や経済・国際問題など、国民の多くは大きな不安を抱えながら生活しています。
国は、公明正大に国民の信頼にこたえ、人々の不信や不安を除くことを責務とするべきであります。
本法案は、その責務に背くものであり、深い懸念を表明するとともに、速やかに廃案されるよう強く要望いたします。

2013年11月27日 真宗大谷派宗務総長 里 雄 康 意

内閣総理大臣 安 倍 晋 三 殿

天下の悪法、「特定秘密保護法」は、この12月10日より施行されようとしています。
平和ボケにある各宗各僧侶、特に"風見鶏"にスタンスを決め込んでいるわが曹洞宗、一刻も早く覚醒し、「三界の大導師」の自覚を取り戻してしてください。

一末派寺院として只願うことは、どうか道元禅師・瑩山禅師の名誉と誇りを失わないで欲しいということです。

合掌

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