千葉県南房総館山市にある曹洞宗のお寺です。水子供養・永代供養・ご祈祷などのお申し込みは当山まで。坐禅体験もあり。

曹洞宗 正木山西光寺

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法話

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四諦--苦諦その4 病苦その2 病気にならない生き方その27
―腸内フローラ― 腸内細菌の驚異その3 平成28年2月

人の幸福にとって最大の敵は病気です。健康無くして幸せはありません。
お金で健康は買えませんが、「腸内フローラ医療革命」によって人類は大きな恩恵を得られるかもしれません・・・前回の締め括りの言葉です。

ならば、我々は皆この腸内フローラの実態を学び、その知識を実践に生かして行くことこそ大事ではないでしょうか。
今最も注目されているこの腸内細菌のパワーについてさらに学んでみましょう。

前回からガン、糖尿病、肥満、アレルギーなど、30以上もの病気に腸内フローラの関与が明らかになってきたという、さらに腸内細菌の影響は何と脳まで、性格や感情などをも変えるという驚くべき研究報告を紹介してきました。

不安や恐怖、幸せや喜び、このような感情は脳で生まれていますが、脳で生まれる感情が腸内細菌によって操られている可能性があるという、まさに人の性格までも腸内細菌が関与しているという。

そんな腸内細菌が脳を操るという実に驚くべき事実が明らかにされたのです。
それを明らかにしたのはカナダの医師プレミシル・ベルチック博士です。
博士はマウスの性格に関する研究で衝撃的な実験を行ったのです。

活発マウスと臆病マウス、二種類のマウスの性格の違いは、もともと持っている遺伝子の違いによるものだと考えられてきました。
しかし、ベルチック博士は腸内フローラにも違いがあることを発見したのです。
そこで腸内細菌が性格に関係しているのではないかと考えました。

博士は、活発マウスの腸内フローラを臆病マウスに移植し、反対に臆病マウスの腸内フローラを活発マウスに移植する実験を試みたのです。
その結果は、臆病マウスの警戒心が下がり、反対に活発マウスの警戒心が高まったのです。

この実験を何度繰り返しても結果は同じでした。
つまりマウスの腸内フローラを交換することでそのマウスの性格まで変わってしまったことが実証されたのです。

性格が変わるということは、コミュニケーションの能力にも影響します。
マウスは人には聞こえない超音波でお互い呼びかけを行っていますが、オスがメスに対する求愛行動におけるコミュニケーション能力についての実験が行われました。

カリフォルニア工科大学イレイン・シャオ博士は、コミュニケーション能力の低いマウスの血液中である物質が増加していることを突き止めました。
その物質とは、腸内細菌が作り出す4EPSという物質です。

この物質が脳に悪影響を与えていると考え、4EPSを取り除く薬を飲ませました。
するとそのオスのマウスがメスへ呼びかける回数が大幅に増加したのです。
つまりそのマウスのコミュニケーション能力が改善したのです。

腸内細菌は人の脳にも影響を与えるのでしょうか。
シャオ博士は、脳と腸内細菌に関する研究は今もっとも熱い分野だと語っています。
人の脳は一千億個もの神経細胞が作るネットワークで出来ていて電気信号をやりとりしています。

神経ネットワークは脳の外にもつながり全身に広がっています。
ネットワークが集中する場所が脳の外にもうひとつあります。それが腸です。
腸を覆う神経細胞の数はおよそ一億個、人体で脳に次いで二番目に多く、腸管神経系と呼ばれています。

実は腸内細菌が作る物質の中には神経細胞を刺激するものが数多くあることがわかってきました。
こうした刺激によって電気信号が生まれ、それが脳に伝わり感情などに影響を与えると考えられているのです。

すでに腸内細菌をうつ病の治療に使う研究が始まっています。
マウスの性格を入れ替えて世界を驚かせたマクマスター大学プレミシル・ベルチック博士は去年から臨床試験を始めました。

脳に影響を与える可能性のある菌を患者に飲んでもらい、不安や恐怖をつかさどる脳の領域がどう変化するか調べています。
腸内フローラを変えることで鬱の症状は改善するのか、今データの解析がすすめられています。

うつ病の患者の中には腸内フローラを変えるだけで心の不調が治ってしまう人がいる筈です。
博士は「今後心の病の治療にはきっと腸内フローラが使われることになるでしょう。」と明言されています。

腸内フローラには個性すなわちタイプがあり固定されていることが解っています。
では私たちは共に生きる腸内細菌をどうやって選ぶのでしょうか。
もともとお母さんのお腹のなかにいる胎児はまったく菌がいない状態に保たれています。

細菌と初めて出会うのは誕生の瞬間、その後口や鼻から入った菌が腸へ辿り着き少しずつ棲み付いていきます。
しかし、入ってきた菌が全て棲み付けるわけではありません。

人と腸内細菌が共に生きる仕組みを研究しているシドニア・ファガラサン博士は、人間の腸の中で分泌されるIgA抗体という物質に特別な役割があることを発見しました。

博士はIgA抗体に選ばれた細菌だけが粘液層に入れることを発見したのです。
IgA抗体は私たち人間に必要な菌だけを選んで腸に棲み付かせているのです。
腸内フローラのタイプはまさにIgA抗体によって形成されていたのです。

腸内細菌は、まさに身体の一部であり人の心身の健康にとって欠かせない存在であることがわかりました。
そこでここ2〜3年で急速に研究が進んできたのが「便微生物移植」治療法です。
ベルチック博士のマウスの実験の結果からも分かるように、健康な人の腸内フローラを病気の人の腸にそのまま移植するという治療法です。

現段階ではまだ潰瘍性大腸炎の治療に限られているそうですが、人類がさまざまな病気において「腸内フローラ移植医療」の恩恵を受けられるのは近い将来間違いないでしょう。

私たち人間は細菌と共に長い進化の歴史を過ごしてきました。
人と腸内細菌は何百万年もの時をかけ、共に生きる仕組みを築き上げてきました。
その過程で互いに助け合う仕組みを発達させてきた掛け替えのないパートナーだったのです。

腸内細菌がこれ程までに人に対して生理作用を持っていることがわかってきたのはここ僅か5年位のことです。
私たちは腸内細菌と共に生きることの本当の意味にようやく気付きました。

しかし、薬の使用や食生活の変化や乱れによって、その奇跡のバランスが崩れかけているのではないかとも言われています。
私たちは腸内細菌と一緒になってはじめて一つの生命体なのです。
腸内細菌と共に生きていることの本当の意味を知るべきです。

ここまで学んできたことは、健康は腸内フローラが大いに関係していること、その腸内フローラは食べた物によって形成されているということです。
であるならば、人は誰でも食べ物を選ぶことで様々な病気から距離を置くことができる筈です。

英語の格言「You are what you eat」(あなた自身は食べた物で出来ている)をあらためて噛みしめたいものです。

合掌

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