▲上へ戻る

仏教に関するQ&A

  1. ホーム
  2. 住職ご挨拶
  3. 仏教に関するQ&Aトップ

仏教に関するQ&A

疑問・質問受付中!

皆さんからの仏教やお寺に関する疑問・質問を募集しています。 質問投稿フォーム、またはメールで投稿してください。 今まで掲載されたQ&Aをお読みになりたい方は左のメニューバーをクリックしてください。

愛別離苦」とは…

はじめまして。大阪府の学生です。
仏教の考え方でどうも腑に落ちないことがあるので質問させて頂きます。

 

①仏教では恋愛を愛別離苦などの言葉が存在するように恋愛を否定的にとらえているように小生は思います。
しかし、「誰かを幸せにしたい」という思いは悪いものではないように思います。
どうも恋愛に対する仏教の考え方やとらえ方、またその在るべき理想の在り方というのがはっきりしません。
在家の仏教信者というのは、結婚するまでの恋愛に対してどうあるべきなのでしょうか。

②不殺生戒と不飲酒戒ですが、そもそも五戒は在家の信者の戒律と思うのですが、守り切れるのでしょうか。
殺さないというのはとても厳しいように思います。食事にはじまりゴキブリなどの害虫まで・・・。
またお酒ですが、般若湯という言葉さえありますが、実際のところどうなのでしょう。
お酒とは小生が20才になった時、どう付き合えば良いのでしょうか。

不殺生戒は命を大切にして有難く頂戴する。
不飲酒戒はお酒に飲まれないということ。
そもそも五戒は絶対守るべきものなのではなく、単に努力目標であるなどと書いてあるホームページもありますが、どうも分かりません。
どうかご教授よろしくお願い致します。

住職からの答え

まず、「愛別離苦」ですが、これは恋愛だけを対象としたものではありません。
恋人は勿論ですが、肉親や友人など、愛するすべての人を対象にしたものです。
もっと拡大解釈すれば、家族同様に大切な存在であるペットも含まれるかもしれません。

この言葉の意味するところは、諸行無常の理です。
どんな愛であってもいつか必ず別離や終わりがあるということです。
生きている以上100パーセント逃れられない「四苦八苦」のうちの「苦」の一つなのです。
どんな愛にも永遠はないという理を悟ることで少しでも苦が楽になれるのです。

仏教は恋愛を決して否定しません。
一般の在家信者は恋愛も結婚もまったく自由です。
誠意ある交際をもってしあわせな家庭を営むべきです。
仏教は人が幸せになるための教えなのですから。
否定するのは邪淫です。

ただし、出家者は別です。僧たるものは修行に専心するためです。
したがって恋愛も結婚もできません。
出家とは文字通り家を出ることで、欲望に関わる全てのものから身を絶つ立場にあるからです。
それが本来の出家というものです。それがイヤなら出家しなければよいだけのことです。

ただし日本では、明治のはじめ、「肉食、妻帯勝手たるべし」の条例が発布されました。
それは現実面と人権面などの配慮からだと思われます。
それ以後日本の僧侶は一般在家と変わりない生活をするようになってしまいました。

「不殺生戒」とは、確かに生き物の命を奪わないことです。
しかし、それも常識で判断すべきでしょう。
先日NHK「平清盛」で白川法皇が「不殺生戒」から漁師の捕魚を禁じていたことがドラマされていましたが、当然漁師は苦境に陥りました。
徳川五代将軍綱吉の「生類あわれみの令」もしかり、常識を超えると只の悪法以外の何ものでもありません。
常識で判断すべきで、矢鱈意味の無い殺生はだめだということです。

「不飲酒戒」は、正式には「不酤酒戒(ふこしゅかい)」と言います。
文字通り酒を飲んではだめだということです。
少しだけなら、とか飲まれなければとかの解釈があるようですが、本当は少しでもだめなんです。酒は判断力を鈍らせるからです。
特に修行の身にある出家にとって、快楽は認められません。

一般在家信者の場合も飲まないにこしたことはありません。
ただし、"プロ"と違って現実的には難しいので、その基本理念を忘れないで社会生活をしなさいということでしょう。

合掌

曹洞宗正木山西光寺