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法話

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法話--平成26年4月--

四諦--苦諦その4 病苦その2 病気にならない生き方 その9

この時期、さくら前線が日本列島を北上中です。
日本人にもっとも人気のある花といえばやはりさくらでしょうか。
国花でもある桜、なかでもソメイヨシノの人気は抜群で、あの艶やかで絶妙な美しさは満点です。

特に開花生命の短いソメイヨシノはその散り際の美しさと相まって一層愛おしく感じられます。
日本人のそんなさくらに対する想いから「花見」の文化が生まれたのでしょうか。
満開なさくらの下で人は不思議とハイテンションになれるのです。

一方、病気などで余命を覚悟した人などがよく口にするのが、「あと何回桜が見られるだろうか」とか「来年の桜を見ることができるだろうか」ということばです。
悲壮感漂うことばですが、真に命の尊さと愛おしさを知った人の率直な言葉として感動です。

今咲いているさくらは今年限りのものです。
来年のさくらは同じように見えてもまったく別のものです。
二度と同じさくらが咲くことはありません。
また、さくらはその短い開花生命のなかで満開に咲き誇って後腐れ無くパット散っていきます。

その"生き様"から見えてくるのはまさに一期一会の人生観です。
「一期」とは「一生涯」のことであり、「一会」は「一度きり」ということです。
人生何ごとも生涯で一度だけ、今回限りとだという真実、まさに諸行無常の無常観を表したことばです。

明日有りと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは(親鸞聖人)

今日の命は今日しかない、今日の命に明日の保証はありません。
命に限らず何ごとにせよ「今しかない」という、まさに「今でしょう」という「一期一会」の精神をさくらは象徴しているように思えます。

「明日有りと思う心」こそ要注意、油断から病気や不幸を招くことにもなります。
健康に関してもそうです。
少しでも良いとわかったことは、明日からなどと言わずに今から即実行してほしいものです。

さて、前回トランス脂肪酸という人が作り出した反自然食品を紹介しましたが、現代では、そのような人体にとって有害な反自然食品が他にも多く出回っています。
新谷先生は、そのような有害食品の一種として「白い食品」は体によくない食品と考えよと述べられています。

今回はそのキーワード「白い食品」について先生の持論をご紹介したいと思います。
本来自然界には「白い食品」というものは存在しません。
たとえば、自然界にある糖も塩も穀物も、もともと皆自然の色がついています。
それが人の手によって加工され、精製糖、精製塩、精白米などのきれいな"白い食品"になるのです。

精製することによって、食品はナチュラルな品質を失います。
つまり、自然食品が精製や加工によって反自然食品に変質してしまうのです。
これは、その食材のもつ「自然の命」を失うことにほかなりません。

砂糖は成分表を見るまでもなく、色の濃いもののほうが、微量栄養素が豊富に含まれています。
塩も海のミネラルやマグネシュウムのせいで色がついています。玄米もしかりです。
玄米は白米になることで栄養素は四分の一になってしまうのです。

多くの人は、白く、見た目の美しい食品を好みます。
そのため、ちょっと鮮度の落ちたもの、酸化して色が濃くなったもの、さらにはナチュラルなままでは見た目が悪いものなどわざわざ漂白までして売られているのが実態です。

市販されている、かんぴようやこんにゃく、かまぼこ、はんぺん、タケノコなどを見て下さい。
ほんらいは真っ白ではないのに薬品によって漂白されているのです。
漂白剤は化学薬品です。体に入って良い筈はありません。
新谷先生の言われる、「白い食品は体によくない」という意味がよくわかります。

真っ白な上白糖は料理の色がきれいに仕上がり、クセもなく甘味料としては絶対の人気を持っています。
また、値段的もリーズナブルで、万人に重宝されているまさに優良食品といえるでしょう。

ところが、です。先生は「"白い"砂糖は人間の身も心もむしばむ恐ろしい食品だ」といわれるのです。
ひとくちに「砂糖」といっても、実際にはいろいろな種類があります。
原料のサトウキビをしぼって加熱しただけのものが「黒砂糖」。
それをさらに結晶とミツに分離し、精製して結晶の純度を高めたものが「精製糖」です。

精製糖はさらに、「車糖」「ざらめ糖」「加工糖」に分かれます。
私たちが普段使っている「上白糖(白砂糖)」は車糖に含まれます。
ざらめ糖には「グラニュー糖」や「白ざら」、加工糖には「角砂糖、氷砂糖、粉砂糖」などが含まれます。

多くの人は、こうしたさまざまな砂糖の成分の違いをほとんど意識しませんが、成分を比べてみると実は大きな違いがあることがわかります。

よく、「甘い物を食べ過ぎると骨が溶ける」ということを聞きますが、実はこれは本当だそうです。
白い砂糖を摂りすぎると、体内のカルシウムが失われてしまうのです。
それは、白砂糖が酸性の食品だからです。
加工される前の黒砂糖は、弱アルカリ性の食品ですが、精製過程でビタミンやミネラルなどの栄養素を失って酸性になってしまうのです。

人間の体は、基本的には弱アルカリ性です。
そのため酸性の食品が大量に体内に入ると、中和するために体内のミネラル分が使われ、多くのカルシウムが消費されるのです。
白砂糖の場合、カルシウムがほとんど含まれていないので、必要なカルシウムは体内の骨や歯を溶かして供給されるのです。

これが、甘いものを摂ると虫歯になったり、骨が弱くなるメカニズムです。
人間の体の中には、体重の約2%のカルシウムがありますが、その99%は骨や歯の中にあります。
残りの1%が血液や細胞内にあるのですが、それがほんの少しでも不足すると、イライラしたり心の不安定を引き起こすのです。

また、白砂糖は糖分の吸収がとても速いので、血糖値が急激に上昇します。
そのためインシュリンが大量に分泌され、低血糖を引き起こしやすくなります。
それが続くと、今度は血糖値を上げようとしてアドレナリンが放出されます。

アドレナリンは神経伝達物質の一つで、興奮したときに大量に血液中に放出されるホルモンです。
出過ぎると脳のコントロールがきかなくなり、「キレる」原因となります。
最近の子供たちは「キレやすい」といわれますが、その原因の一つは精製糖の過剰摂取にあると、先生は考えています。

アメリカでは、子供たちにキヤンディーなど甘いものをあげすぎると、「シュガーハイになる」といいます。
それは白砂糖を多く含む菓子類をたくさん食べる子供は、集中力がなく、思考力も減退し、短気でイライラしやすくなるということであり、これはほぼ常識となっているそうです。

さらに、糖類は体内で分解されるときに、ビタミンB1を消費しますが、白砂糖にはビタミンがほとんど含まれていません。
そのため、ビタミンBの摂取量が少ないと欠乏症を起こし、過労やめまい、貧血、うつ、短気、記憶障害といった、さまざまなトラブルも招いてしまいます。

砂糖はお菓子類や日々の料理に使われるだけではなく、市販のペットボトル飲料にも多く使われています。
500ミリリットルのペットボトルのジュースや炭酸飲料一本に含まれる砂糖の量は約30グラムもあります。

健康的な食事における一日の砂糖の摂取量の目安とされているのは20グラムです。
先生は、できれば白砂糖の使用をできるだけひかえ、それに代わるものとして、黒砂糖や蜂蜜、天然のメープルシロップなどを勧められています。
これらは天然のミラクルを多く含んだとてもよい食材だそうです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺