▲上へ戻る

法話

  1. ホーム
  2. 住職ご挨拶

法話--平成29年10月--

四諦 - 苦諦その4 - 病苦その2 - 病気にならない生き方その34
口内フローラ 全ての病気は口から侵入-2-

またまた政治の話からで恐縮です。選挙の結果は与党の圧勝でした。
安倍政権を批判してきた手前もあり感想を述べさせていただきます。

内閣支持率が低いのに、何故国民は自民党を選んだのでしょうか。
安倍首相には不満があるが、政権選択というのなら、消極的ながら自公政権に託すしかない・・・そう考えた有権者が多かった結果ではないでしょうか。

日本人は、右が3割、左が2割、中道5割といわれています。
右3割は自公の固定票、左2割は広義のリベラル、中道5割は無党派層となります。
日本の有権者は約1億人。これに当て嵌めると、自公が3千万票、野党が2千万票、無党派層が5千万票ということになります。

そして大抵の投票率は50%台だとすると、中道5割の多くは棄権していることになります。
この状況だと、リベラル(2割)は必ず自公(3割)に負けることになります。 野党が乱立すればなおさらです。

自民党は小選挙区で4分の3の議席を占めましたが、一つの選挙区から一人だけが当選するこの制度は、第1党が得票率に比べて多くの議席を獲得するのが当然という、いわゆる「死票」の多いひずみのある制度なのです。

自民党の今回の小選挙区での議席占有率は75%にもなりますが、全有権者(1億609万人)に占める絶対得票率は25.2%にすぎません。
今回の「勝利」を絶対得票率から見ると、自民党を支持する民意が小選挙区制で増幅された結果だと見て取れます。

自民党は有権者の圧倒的支持を受けたと思い上がってはいけません。
安倍政権の5年間に不満や疑問を持つ国民は多く、選挙後でも「安倍さんに今後も首相を続けて欲しい」は34%、「そうは思わない」は51%です。

国会で自民党だけが強い勢力を持つ状況が「よくない」が73%、「よい」は15%。
おごりと緩みが見える「一強政治」ではなく、与野党の均衡ある政治を求める、そんな民意が読み取れるのに、なぜ今回の選挙で自民は圧勝したのでしょうか。

安倍晋三首相は各地の街頭で、真っ先に「北朝鮮の脅威」を訴えました。
麻生財務相は、自民大勝の結果に「明らかに北朝鮮のお蔭もある」と吐露しています。
今回の解散を「国難突破解散」と名付けた真意はそこにあったのかもしれません。

戦争へのメカニズムとして「敵の脅威」は欠かせません。戦争の遂行には国民の支持や協力が欠かせません。
そこで、しばしば「脅威」が誇張され、ねつ造され、大量破壊兵器があるといったり、敵の攻撃をでっちあげたりします。

ナチス・ドイツの国家元帥、ゲーリングは、「『我々は攻撃されている』と訴え、『国を危険に晒している』と平和主義者を避難すれば、人々は意のままになる。このやり方は、どんな国でも有効だ」と言っていました。

今日の自由な社会でも、狂気の指導者がいなくても、人々を不安に働きかける手法は通用します。
世界に「自国ファースト」、「白人至上主義」、「異教徒排除」、「移民反対」などの自己中心政治が広がっています。

日本も似たようなものになろうとしています。こんな時こそ、多数派か少数派かに拘わらず、一人ひとりの自由、人権を大切に守らなければなりません。
不安に煽られ、大切なものを手放さないようにしなければなりません。

それらを重んじるのが「リベラル」という立場です。
護憲か改憲か、保守か革新かといった線引きを越え、何が正しいのかを見極めた是々非々が大事です。

「上からのトップダウン型の政治か、下からの草の根民主主義か」、立憲民主の枝野幸男代表が訴えた個人尊重と手続き重視の民主主義のあり方は、安倍政権との明確な対立軸になりえるでしょう。

そもそも民主主義における選挙は、勝者への白紙委任を意味しません。
改憲をめぐる民意も多様です。主権者である国民の理解を得つつ、十分な議論の積み上げが求められます。

憲法論議の前にまず、なすべきことは、森友・加計問題をめぐる国会での真相究明です。
首相の「丁寧が説明」は果たされていません。
行政の公正・公平が問われています。
政権のおごりと緩みを首相みずから率先して正すことが、まず求められているのです。

さて、本題に入りましょう。
森永先生は、アンチエイジング医学を意識するようになって、日本抗加齢医学会の抗加齢医学専門医の資格を取得しました。
そして、よりコアな国内外の情報を求め、世界最大で最も歴史のあるアメリカ抗加齢医学会(A4M)で研修を受け、日本の歯科医としては初の認定医となったのです。

特に、毎年12月にアメリカ・ラスベガスで開かれる総会に出席され、最新の情報を入手したり、この分野の権威の貴重な意見など聞いたりして研修を積まれてきました。
こうして学んできたことを日々の診察や治療に生かそうと努められておられます。

生活習慣病は、その名の通り、日頃の生活習慣が病気の発症や進行に深くかかわっています。
偏った食事、運動不足、過度のストレスなどなどからいつしか健康が損なわれていきます。

病気はいきなり発症するように思われますが、それには原因となる生活習慣が長く続いていた結果なのです。
ただ、本人がそれにほとんど気が付いていないだけなのです。
病気のスタート地点に立つまでに、とても長い助走期間があるのです。

スタート地点の一歩手前、いわば「未病」の状態が大きなポインになるのです。
何となくおかしい、ちょっと普段とは違う、というようにわずかに異常を感じる状態がある筈です。

それは、僅かであっても、病気に限りなく近い状態なのです。
これを放置しておくと、徐々に病気が進行し、やがて重症化することになります。
発病して、メタボリック・ドミノの最初の一枚が倒れてしまうと、その流れを途中でストップさせるのは難しいのです。

そんなドミノの最初の一枚を握っているのが歯科といったら、驚く人もいるかもしれませんが、森永先生は、虫歯や歯周病は、このドミノの最上流に位置しているといわれます。

口の中に不調が現れたときに、全身の健康を意識することで、様々な病気の発病や進行を防げることもあるのです。
その自覚さえあれば、病気は上流ほど対処しやすいものです。

それなのに、これまでの医療では、病気になってからでないと対処しませんでした。
病気が生じてからの治療、つまり下流にながれてからの後追いというのが普通でした。
その点、歯科では、より上流で対応できることになります。

比較的元気なうちに、未病のうちに、口腔歯科の健康を意識することで、「ドミノ」を倒さずにすむことにもなるのです。
ですから、歯科は「健康のゲートキーパー」として最適の位置にいるのです。

口の中が良好な状態の人は、いろいろな慢性疾患にかかっていないことが多く、それだけ免疫力が強く病気にかかりにくいといえるのです。

健康を維持し、病気を予防するということは、最高のアンチエイジングといえます。
そこに、歯の健康は深くかかわっているのです。
歯を守ること、歯周病などを予防して口の中を健康に保つことは、生活習慣病から身を守ることであり、健康寿命を延すことになるのです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺