▲上へ戻る

法話

  1. ホーム
  2. 住職ご挨拶

法話--令和3年1月--

年頭所感 ―自滅の刃 ―

新年明けましておめでとうございます。
お蔭さまで当山ホームページも今年で17年目を迎えます。
しかし拙僧も高齢に伴いいつまで出来るかを考えるようになりました。

ひょっとしてある日突然閉めることになるかもしれません。
実際今まで止めようと思ったこともないわけではありません。
つい最近のことですが、あるイカサマ業者から騙され、このホームページが存亡の危機に晒されました。

幸い実害はありませんでしたが、自分にも隙があったと大いに反省しました。
いつか閉めるにしても平穏に終わりたいものです。
それがあと何年後になるか分 りませんがボケ防止の為にも、もう少し頑張ってみたいと思います。

さて、今世界はまさに「コロナ世界大戦」の真最中にあります。
いつ「終戦」を迎えるのか分りませんが、お互い「戦死」しないよう頑張っていきましょう。
来年一月のこのページに果たしてどんな内容を書くことになるので しょうか。

「ついに人類はコロナ戦争に勝った。人類英知の勝利、世界中が歓喜に湧きかえる」などという記事になれば最高ですが、残念ながら今は全く予測不可能です。
世界全体の感染者が累計で1億人を超えました。
人類の約78人に1人が感染したことになります。
死者も215万人を超えました。

何よりも頼りはワクチンです。
それが世界中に行き渡ってこそ安心できます。
しかし、性急に開発したワクチンには不安があります。
本来なら4~5年も掛けて慎重に治験すべきものを、僅か半年そこそこで開発したものに不安があるのは当然です。

主要国が競って開発供給していますが、どれが一番安全かその検証を見極めるのが大事です。
イスラエルではファイザー社のワクチンを世界最速のペースで接種を進めていますが、19万人への接種で陽性率0,01%にとどまっていることがわかったとか。

ファイザー社は予防効果が95%と説明しています。
これにお墨付きが付けば不安はかなり減少し、接種は一気に進むでしょう。
それでも世界中に普及するまでには3~4年かかるとか。
しかし何よりも大事なことはコロナの収束が見えてくることです。

WHOのテドロス事務局長は、「豊かな国々がワクチン接種を進め、貧しい国々は成り行きを見ている。世界で持てる者と持たらざる者の格差が日々広がっている。」と危惧しています。

英オックスフォード大などが27日公表したデータによると、すでに世界で投与されたワクチンは約7,100万回で、このうち米国が3割超、中国が約2割、英国が約1割、イスラエルを含めた上位4ヶ国で7割を占めるといわれます。

WHOは、国の貧富にかかわらず、ワクチンの共同購入で、公平に分配する仕組みがあるといいます。
年末までに20億回分を確保し、参加国の人口の最大2割に届ける構想を描いています。
しかし、先進国や中進国が競って製薬会社と直接契約を結ぶため、価格が上がり、必要量の確保が出来ない恐れがあるともいわれます。

国際商業会議所(本部・パリ)が25日に公表した研究では、先進国での接種を優先して途上国で接種しない場合、世界経済は今年だけで最大9.2兆ドル(約950兆円)の損失を被るとか。

先進国がワクチン接種で感染拡大を抑えても、貿易相手の途上国の感染が収まらなければ、結局は先進国の経済活動にも悪影響が及ぶのです。
テドロス氏は「公平な分配はすべての国の中長期的な経済利益にかなう」と訴えています。

しかし、どの国のリーダーも先ずは自国民を守ることが第一です。国民も当然それを求めますし、国民からの信頼もそれに尽きます。
途上国への理解と協力を得るためにはWHOの働きが欠かせません。

さて一方日本ですが、政府は1月20日、ファイザー社と年内に約1億4400万回分(約7200万人分)の供給を受けることで正式に契約したそうです。
2月下旬から医療従事者から接種を始め、高齢者や基礎疾患がある人などに順次拡大する方針だとか。
規模の大きさから「史上最大の作戦」とも言われます。

日本国民へのワクチンの見通しがつき、さらにファイザー社のものだという点で個人的にはよかったと思います。
仮に中国製のものでしたら受けたくありません。
なんと今日のニュースで、その中国製の「闇ワクチン」が出回っているというのです。

一人10万円で、日本では未承認の物だとか。
偽物の可能性もあるので、やるなら自己責任で、何かあっても政府は保証しないとのこと。当然です。
変なものには近づかないことです。ましてや中国 製となればなおさらです。

さて、問題はここからです。
政府の不策、失策で国民はすっかり不安、不振、不況で疲弊しています。
こんなに国民が苦しんでいるのに、菅内閣は無策、失策、無責任で横柄です。
その不満から内閣支持率は30%台へ急落し「危険水域」に達しています。

不支持に特に影響を与えているとみられるのがコロナ対策です。
政府対応を「評価しない」が6割を超え、11都道府県に出した2 度目の緊急事態宣言も「遅すぎた」が8割にも上っています。

「ほかの誰が指揮官でもコロナ対応は批判される」との同情論もありますが、それは身内の中からで、感染拡大防止を公約にしながら、経済にアクセルを踏んで後手に回ったのは明らかに菅首相の判断ミスだと、国民は見抜いています。

そして今、菅首相の「生活保護」発言が物議を醸し「炎上」しています。
27日の参院予算委員会で、立憲の石橋通宏氏は「収入を失って路頭に迷う 方、命を落とされる方が多数に上っている。政府の政策が届いていないことが明らかになれば、首相の責任で届ける約束をしてくれるか」と首相の姿勢をただしました。

これに対し、菅首相は「いろんな見方がある。対応策もある。政府には最終的には生活保護という仕組みも」と答弁したのです。
第3次補正予算案では、生活に苦しむ人への支援が少ないことから、「持続化給付金」と「家賃支援給付金」の継続、再支給を求め ましたが、これも首相は拒みました。

そうした中での首相の「最終的には生活保護」との発言に野党は批判を強めたのです。
石橋氏は、「自助・共助・公助」を掲げる首相に対し、「あぜんとした。生活保護に至らないように政策を打つことが本来の『公助』なのに、自助で頑張れ、というのが首相の基本姿勢だと、残念ながら確認できました。」

「影の総理」「危機管理の達人」「叩き上げの苦労人」さらには「鉄壁のガース」と言われ、憲政史上最長の安倍政権を官房長官として7年8カ月支えた菅さん。
首相に就任すると、手腕を期待され高い支持を得ていましたが、一連の言動から、彼には真に国民を守ろうとする気概も能力も無いことが分ってきました。

このまま政府の無策、失策が続くなら、ほんとうに「Go To 生活保護」になってしまいます。
「生活保護」の前にできること、例えば失業保険の期間延長や増額、ほかにも年金保険料の減額や免除、医療費の一部免除、消費税の減税といくらでも考えつきます。

政府が何もしないで、一気に生活保護を紹介するのはおかしい。生活保護に一度世話になると戻れない人もいます。
生活保護に遠慮して餓死する人もいます。
ネットでは「#もういらないだろう自民党」「#スガ、麻生やめろ」が拡散しています。

官房長官時代から、絶対に自分の非を認めない。気に入らない者は左遷するといった恐怖の人事権を振りかざして与党や官僚を支配してきた菅さん。
総理になったら勝手が違います。相手が国民ですから忖度などありません。

「危機管理の達人」と期待されましたが見掛け倒しでした。
自分自身の危機管理に対してだけは一生懸命でしたが、弱者に 対しての危機管理能力は感じられません。
「叩き上げの苦労人」の割には弱者への思い遣りに欠けるようです。

一国の総理たる者にはそれだけの人徳と気概と国民に寄り添う優しさがなくてはなりません。
彼にはそのどれもが不足しているようです。
結局彼は総理の器ではなかったのかもしれません。

菅さんは自分が自滅への道を進んでいることに気付いていないとしたら、「自滅の刃」に倒れる日もそう先のことではなさそうです
これからの興味はその日がいつ来るかです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺