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法話

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法話--平成29年5月--

四諦 - 苦諦その4 - 病苦その2 - 病気にならない生き方その30
- 国の健康を考える-国会フローラ -

人の健康に大事なものが「腸内フローラ」や「口内フローラ」だとすると、国が平和であるためには、政治が健全でなければなりません。
国民の安心、安全をつかさどるのが国政だとすると、「国会フローラ」なるものが大事ではないでしょうか。

今の日本の国政の健康状況は果たして「健康」だと言えるでしょうか。
人の体の健康は、「腸内フローラ」や「口内フローラ」の悪玉菌と善玉菌、日和見菌の割合によって決まります。

今の国会をそれになぞらえてみると、どうも悪玉菌の割合が多くなりすぎているようです。
日和見菌も当てにできず日本の国の健康はかなり心配になってきました。
今月は、「口内フローラ」について学ぶ予定でしたが、国の健康が脅かされている現状でもあり、あえて「国会フローラ」をテーマにしてみました。

先月、国際NGO「国境なき記者団」から世界180ヶ国の「報道の自由度ランキング」が公開されました。
日本は昨年の61位から72位と一気に下がりました。
7年前の民主党政権時の11位が最高で、その後どんどん下がり続け、今ではG7のなかでは最下位です。民主国家としてはかなり不名誉なことです。

ちなみにトップ3は、フィンランド、オランダ、ノルウエーとなっています。
最下位は言うまでもなく北朝鮮です。
民主主義国家の基本的条件が「言論の自由」であることからすると、日本はこれからどんどん北朝鮮に近づいていくのでしょうか。

日本への評価が低いのは、福島の事故の透明性がないこと、特に大きいのは、「安倍政権のメディア敵視と圧力」、及び「メディア自身の自己検閲と権力への忖度」だそうです。

また、特定秘密保護法、安保関連法の成立が大きく響いているといわれます。
そしてもうすぐ組織犯罪処罰法「共謀罪」が制定されれば、さらにランキングは急降下するでしょう。

安倍政権は、党則を変え全省庁の幹部人事権を総裁が一手に握られるように内閣人事局を設置し、「安倍一強」を築いたのです。
一人の人物への極端な権力の集中は、独裁国家への門戸を開く危険性があるのです。

おじいちゃん(岸信介)コンプレックスから、憲法9条を改正することこそ彼の悲願に他なりません。
数の力に物を言わせ国会の中で強引に横車を押している安倍総理。
その実態はまさに国政の私物化です。

安倍さんは、森友学園問題では、「私や妻が関与していたら、首相も議員も辞める」と明言しました。
加計学園問題では、前事務次官の前川氏が「総理のご意向」として「行政がゆがめられた」「黒を白にはできない」と証言しました。

森友学園問題でも加計学園問題でも、安倍総理が関与していることはほぼ間違いない事実だとわかっているにも拘わらず、証人喚問もできない国会、まったく国民を舐めているとしか思えません。
特に与党議員らには、国民から負託をうけた政治家としての信条も矜持もないのでしょうか。まさに恥知らずです。

しかし、そんな政治家を選んだのは国民自身だから自業自得と言ってしまえばそれまでですが、自由も平和も人任せでは手に入らないのです。
表現の自由もこれからどんどん脅かされて、自由にものが言えない監視社会になってしまうでしょう。

政官一体となって政権側の不都合な真実が隠され、権力者にとって気に入らない者は易々と逮捕、投獄されるようになるのです。
そうなっても、自業自得だから仕方ありませんか・・・ほんとうにそれで良いのでしょうか。

ちなみに、「世界の幸せ度国別ランキング」では、日本は157ヶ国中53位で、これも過去最低だそうです。
最低賃金の基準も先進国の中では最悪だとか。

日本は自殺大国といわれます。
WHOは2014年の世界172ヶ国の自殺率を公表しました。
1位韓国、2位リトアニア、3位ロシア、そして4位が日本でした。
日本は先進国の中ダントツ自殺率の多い国なのです。

毎年3万人を超える自殺者ですが、特徴としては、15~24歳の自殺率が90年以降ずっと上がり続けているとのこと。
格差社会、若者の貧困が拡大している社会に若者は夢を持てません。
そんな国の幸福度が上がる筈はありません。

民主主義国家とは、言うまでもなく「国民ファースト」である筈です。
今の安倍政権は、その真逆に突き進んでいるのです。
安倍さんの頭の中にあるのは国民の幸福ではなく、戦後レジュームから脱却し国家主義政権の確立なのです。

さすが気の合った友人のアメリカトランプ大統領の横暴ぶりと遜色ありません。
しかし、アメリカではロシアとの癒着疑惑でトランプ氏弾劾の動きが広がっているというのは、流石民主主義を大事にしている国だけのことはあります。

あの韓国でさえ、民衆は朴槿恵大統領の悪事を許さず弾劾裁判で吊し上げてしまったのに、日本では、これだけの疑惑があるのにも拘わらず「証人喚問」さえできない。
これが韓国だったら国民は黙っていないでしょう。暴動が起こりますよ。

憲法が疎んじられ、立憲主義が崩壊しようとしているというのに、日本の国民はなぜこんなにもおとなしいのでしょうか。
「黒いものを白だ」と平然とウソをつく、ウソ八百を主張し自責の念すらまったく感じない安倍総理。

そんな人が日本国の総理大臣だということが納得できません。
そんな人に追随する政治家や役人も同罪です。
それを支持する人も信用できません。

さらに、権力のトップやその代弁者が、公的な場で特定個人を人格攻撃したり、恫喝したりしているのは、ただ事ではありません。
もはや民主主義国家の体をなしていません。

さらに深刻なのは、政策や行政のプロセスに関する文書をどんどん破棄していることです。
文書の破棄は、後世において政策の意思決定過程を検証するのを不可能にしてしまいます。
まさに歴史に対する、国家国民に対する犯罪行為なのです。

共謀罪が成立したら、もはや国の主権は実質的に国家権力者になるのです。
拙僧がホームページでこんなことを言えるのも今のうちかもしれません。
そのうち「共謀罪」か、何かの言いがかりをつけられ警察に呼び出され、拘束されてしまう日がくるかもしれません。
そんな方向に確実に向かっているのが今の日本なのです。

国会の悪玉菌を減らし、日和見菌を善玉菌に変え、どんどん善玉菌を増やさない限り、日本の健康(平和)は望めません。
健全な「国会フローラ」なるものを作り上げるその責任は、国民一人一人の認識と行動力に掛かっていることを今一度考えてみる必要があります。

合掌

曹洞宗正木山西光寺